物流業務のデジタル化を推進するため3社初の取り組み
物流に特化したさまざまなソリューションを提供する 株式会社 PAL と、ローカル5Gの検証環境を持つNTT東日本、複数の物流施設を保有する東急不動産の3社は、物流倉庫業務のスマート化に向け、NTT東日本と東京大学が共同で設立したローカル5Gオープンラボで、物流倉庫業務のデジタル化を進めるための事業化に向けた、「人の動態把握」に関する実証実験を実施しました。物流不動産デベロッパーを含めた枠組みとしては初となる取り組みです。背景、実証実験の概要および結果、今後の取り組みの詳細は下をご覧ください。
ローカル5Gを活用したスマート物流の推進 取り組みイメージ図
プレスリリース内容
ローカル5GとAI画像分析技術を活用した「物流現場における人の動態把握」の実証実験を実施
2021年6月15日
株式会社 PAL
東急不動産株式会社と東日本電信電話株式会社、 株式会社 PAL の3社は、物流業務の見える化を目的にローカル5Gオープンラボにおいて、ローカル5GとAI画像分析技術を活用した「人の動態把握」に関する実証実験を実施し、物流現場への適用可能性を確認しました。今後は、カメラを活用した自動検品や自動搬送機(AGV等)の運転・遠隔操作等の実証実験も行い、2022年度には実際の物流倉庫・現場での運用・実装を目指し、さらなるスマート物流の実現に向け取り組んでまいります。
1. 背景
昨今の物流現場では、労働力人口の減少やインターネット通販での買い物需要が高まったことによる出荷件数の増加に伴い、最適な現場レイアウトの設計、人員配置の適正化等に加え、煩雑な物流倉庫業務をシステム化するなど、大幅な作業効率化が求められています。
システム導入などが少しずつ進む一方で、物流倉庫内における作業スタッフの業務は複雑かつ多様化し、作業スタッフの運営管理については、管理者がシフトの作成から実際の作業工数の把握等を手入力でアナログ管理しているのが実情です。
作業スタッフの稼働をリアルタイムに見える化し管理していくことは、物流倉庫内における作業進捗の把握や人員配置の適正化といったメリットに加え、業務量や作業の生産性をデータとして取得・蓄積していくことにより、作業効率の向上や、今後の省人化への投資を判断していく重要なデータとなっていくと考えています。
これらを踏まえ、本取り組みでは、物流業務の見える化によるスマート物流の実現に向け、ローカル5GとAI画像分析技術を活用した人の動態把握ソリューションに関する検証を行いました。
2. 実証実験の概要・結果
ローカル5Gオープンラボにおいて、物流倉庫を模した疑似的な環境とローカル5Gを通じた高精細カメラでの撮影環境を構築し、物流現場で想定される動作を複数人で行い、その映像データをAIで分析しました。その結果、ローカル5Gの安定した高速大容量の通信を活用したAI分析により、人物の検知・特定および追跡(動線把握、ヒートマップ化)において物流現場への適用可能性を確認しました。
当技術を活用し、『誰が、どこで、どの経路で動き、どのくらいの時間滞在していたか』というデータを取得・蓄積し、見える化することで、物流倉庫における最適な現場レイアウトの設計、人員配置の適正化等が可能となり、物流業務の効率化が期待できます。
これらを踏まえ、本取り組みでは、物流業務の見える化によるスマート物流の実現に向け、ローカル5GとAI画像分析技術を活用した人の動態把握ソリューションに関する検証を行いました。
実証模様
動態把握ソリューションの詳細設計や映像データのAI分析等の検証は、AIカメラ開発や画像解析に取り組む株式会社エクサウィザーズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:石山洸)と共同で実施。
実際の人物の特定・検知
実際の人物の特定・検知
個人の動線把握
ヒートマップ
3. 取り組み期間 (イメージ)
- 2020年度: ローカル5Gオープンラボを活用した技術検証
- 2021年度: 実フィールドでの実証 (東急不動産保有倉庫)
- 2022年度以降: 東急不動産が保有する倉庫内への本格導入、各サービスの内容・事業化の検討
当取り組み中で、AIをはじめとする最先端技術の実用化に取り組む企業や団体と技術連携を図りながら、ローカル5G環境下で稼働可能な新たな省人化・デジタル化ソリューションの共同検証、実際の物流現場への導入を随時実施していきます。
4. 各社の役割
東急不動産
LOGI’Q(ロジック) シリーズをはじめとする物流施設を現在9物件(開発中物件含む)展開しています。NTT東日本、PALと業務提携を結ぶことにより、ローカル5G環境を物流施設に導入し、最適化されたネットワークインフラの標準実装、ならびに物流施設業務のスマート管理に向けたデジタル化を推進し、物流効率化という社会ニーズに応えていきます。
NTT東日本
東京大学と連携し2020年2月より、東京大学本郷キャンパスとNTT中央研修センタにおいて、「ローカル5Gオープンラボ」を設立し、ローカル5Gの検証環境を提供しております。本取り組みにおいても物流倉庫内での実証実験に先立ち、「ローカル5Gオープンラボ」を活用し、ローカル5G環境の提供、ユースケースの共創及び各種ソリューションの技術検証を実施します。
ローカル5Gオープンラボ
株式会社 PAL
物流現場の運営を通じデジタル化を推進する物流DX(デジタル・トランスフォーメーション)企業です。自社およびテック企業との共同開発による、データ取得、解析ソリューション、自律走行機器などをローカル5G環境における物流の現場や作業に導入し、検証を行います。 PALが企画・開発する物流DXプラットフォーム「Core First」を用い、倉庫内データの統合モニタリングを実施します。