昆布の森再生プロジェクト 天然ガゴメ昆布 の保護と再生
日本有数の昆布生産地「函館」で獲れる 天然ガゴメ昆布 は、健康食材としても大きな注目を集めている昆布。通常の昆布よりも深い所に生息し、また数も少ない希少昆布です。しかし近年の海水温の上昇などの影響で生産量はピーク時の1%以下に減少し産地消滅の危機に直面しています。
健康食品を扱うシオノギヘルスケアは天然ガゴメ昆布を守るため、函館市と連携し「昆布の森再生プロジェクト」を発足。ガゴメ昆布の利用を天然から養殖へ切り替えることで、天然ガゴメ昆布を保護・再生させることを目的としたプロジェクトです。
日本有数の昆布生産地・函館
プレスリリース内容
産官連携で函館の 天然ガゴメ昆布 を守る昆布の森再生プロジェクトを発足
養殖ガゴメ昆布の利用向上の仕組みを構築へ
地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業を活用し 2021年7月より開始
2021年7月13日
シオノギヘルスケア株式会社
ヘルスケア価値の提供を通じて社会に貢献する シオノギヘルスケア株式会社 (本社:大阪府 大阪市 代表取締役社長:吉本 悟、以下シオノギヘルスケア) は、2021年7月より北海道道南地域函館市にて令和3年度経済産業省補助事業の「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業」(以下、本補助事業) を活用し、絶滅の危機にある天然ガゴメ昆布の保護と養殖ガゴメ昆布の利用を向上させることを目的とした「昆布の森再生プロジェクト」を 北海道 函館市 (市長:工藤 壽樹) と産官で連携し開始します。
右:函館市長 工藤壽樹
左:シオノギヘルスケア社長 吉本悟
昆布の森再生プロジェクトとは
昆布の森再生プロジェクトは、ガゴメ昆布の利用を天然から養殖へ切り替えることで、天然ガゴメ昆布を保護・再生させることを目的としています。その中で本補助事業を活用した取り組みでは、養殖ガゴメ昆布の収穫後の乾燥工程を簡略化し、漁業者の作業負担を軽減することで生産性を向上させる仕組みを構築し、養殖ガゴメ昆布の普及を推進することを目指します。
真昆布とガゴメ昆布
また、北海道 道南地域の課題である天然ガゴメ昆布の保護によりガゴメ昆布の生産量を回復させたいと考えています。今回、函館市、北海道立工業技術センターとの産官連携により、ガゴメ昆布の再生活動に取り組む予定です。
昆布の森再生プロジェクト実施の背景
海水温の上昇などの影響で天然ガゴメ昆布の生産量はピーク時の1%以下に減少しており産地消滅の危機に直面しています。そのため今まで主流だった天然から養殖ガゴメ昆布へ利用を切り替え、天然ガゴメ昆布を再生させることを目指して本プロジェクトは発足しました。現状、養殖の利用促進には複数の課題があります。
例として、ガゴメ昆布は収穫してから各漁業者が個人宅で1枚ずつ乾燥させる工程があり、収穫直後のガゴメ昆布は水を吸って重く、非常に重労働かつ乾燥スペースが必要なため生産効率が悪いという課題があります。本補助事業を活用した取り組みでは、この生産効率に関する課題を解決します。本取り組みでは、シオノギヘルスケアと取引のある宏輝株式会社を実証実施法人とし、シオノギヘルスケアは実証連携法人として活動します。
本補助事業を活用した昆布の森再生プロジェクトの取り組み
1. 未乾燥昆布の乾燥工程における効率化
これまで各漁業者が個人宅で、手作業で行っていた昆布の乾燥工程を効率化します。ガゴメ昆布は「フコイダン」という成分を多く含むことから、サプリメント等の加工食品の原料として多く使用されています。最終的に昆布は粉砕して使用されるため、出汁等に使用される伝統的な昆布とは異なり、1枚ずつの丁寧な乾燥作業は必要ありません。重労働の一因となっている昆布の乾燥作業を効率的に行うための手法を確立します。
2. 未乾燥昆布の冷凍保管による繁忙期の作業負担軽減
繁忙期の昆布の乾燥作業の作業時期を分散化し効率化するために、収穫したガゴメ昆布の冷凍保管を検討します。冷凍保管が可能になると、ガゴメ昆布の収穫時期は収穫にのみ専念することができます。また、冷凍保管したガゴメ昆布を閑散期に乾燥させることで、閑散期の就業機会を生み出すことも可能となります。
3. 乾燥昆布の評価方法の確立
上記の乾燥工程の効率化により得られた乾燥昆布が、メーカー等の需要者が求める品質となっていることを検証するための評価項目と分析手法を設定します。従来の丁寧な乾燥方法と品質の差がない事を検証するための客観的な指標を設定し、需要者にとっても安心した取引が可能な環境を確立します。
シオノギヘルスケア担当者コメント
シオノギヘルスケアはガゴメ昆布を使用した製品を販売していることから、天然ガゴメ昆布の産地消滅の危機には前々から憂慮していました。これまでは、製品の原料を天然から養殖にシフトしてきましたが、今まで以上に天然ガゴメ昆布の保護を行えるよう函館市・北海道立工業技術センターをはじめとした自治体・企業と協力し、本プロジェクトを発足しました。今回のプロジェクトを通してノウハウを蓄積し、函館周辺の道南地域だけではなく、漁業者の高齢化や非効率化に悩む地域の活性化を行うことができればと考えています。また、今後は学術機関と協力し、養殖ガゴメ昆布の品質をより向上させるための開発も行う予定です。
北海道函館市長工藤壽樹氏コメント
本市を代表する地域資源であるガゴメ昆布につきましては、これまでも北海道大学を中心に、市や北海道立工業技術センター、関係企業などが協力し、さまざまな商品開発に結びつけてまいりましたが、近年、昆布の生育環境の変化などで、その生産量が減少している状況が続いております。こうした中、この度のシオノギヘルスケア株式会社様の「昆布の森再生プロジェクト」については、ガゴメ昆布の安定的な資源確保と地域資源としてのさらなる魅力向上が図られるほか、地域漁業者の生産性向上にも寄与するものであり、今後、このプロジェクトを通じ、産学官の連携をさらに深めるとともに、地域の活性化につながることを、大いに期待しております。
シオノギヘルスケアのSDGsへの取組みに関して
シオノギヘルスケアは今回のプロジェクトを通じて、国連サミットによる国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」の「No.8 漁業者の作業負担軽減(働きがいも経済成長も)」「No.11 地域の活性化(住み続けられるまちづくりを)」「No.12 天然資源の持続可能な管理と効率的利用(つくる責任 つかう責任)」「No.14 ガゴメ昆布の再生(海の豊かさを守ろう)」の4項目を解決するために取り組んでまいります。